値域・領域シリーズ part 5

値域・領域シリーズ

今回は通過領域の問題に取り組みましょう.2つの例題を扱います.

part 5のポイント
  • 通過領域の問題は,変数の片方を固定して,値域を出す(ファクシミリの原理).
  • 変数を固定した後に,もう片方の変数がパラメータの関数として簡単な形で表せるように,固定する変数を選ぶ.
例題1

$$実数\,t\,が,0≦t≦1\,の範囲を動くとき,放物線\,y=x^2-2tx+t\,が通過する領域を求めよ.$$

解答はこちら

\(k\) をある実数として,\(x=k\) と固定する.このとき,\(y=(1-2k)t+k^2\,\,\,(0≦t≦1)\) .

\(f(t)=(1-2k)t+k^2\,\,\,(0≦t≦1)\) とおく.

(i) \(1-2k>0\) のとき,つまり \(k<\frac{1}{2}\) のとき

\(f(t)\) は単調増加なので,\(f(0)≦y≦f(1)\) .よって,\(k^2≦y≦k^2-2k+1\) .

(ii) \(1-2k=0\) のとき,つまり \(k=\frac{1}{2}\) のとき

\(f(t)=k^2\) より,\(y\) は \(k^2=\frac{1}{4}\) の値しかとらない.

(iii) \(1-2k<0\) のとき,つまり \(k>\frac{1}{2}\) のとき

\(f(t)\) は単調減少なので,\(f(1)≦y≦f(0)\) .よって,\(k^2-2k+1≦y≦k^2\) .

\(x=k\) を実数全体で動かし\(x\) の固定を外せば,(i)~(iii) より,求める範囲は下の赤色の領域であり,境界部(\(y=x^2\) の放物線と \(y=x^2-2x+1\) の放物線)を含む.

今回の例題では,パラメータが \(t\) ,求めたい変数は \(x,\,y\) です.

しかし,今までのような \(t\) から \(x\) や \(y\) に対応させる関数がありません.そもそも \(t\) が決まっても,\(x\) や \(y\) は一つには決まりません.パラメータによって,放物線が平行移動していくイメージですね.

このような場合でも,変数を1個固定することで,変数の数を減らしましょう

ここで重要なのは,\(x\) と \(y\) のどちらの変数を固定するかということです.

\(x\) を固定した場合,\(y=(1-2x)t+x^2\) と \(y\) を \(t\) の一次関数としてみることができます.あとは,\(t\) の係数である \(1-2x\) の正負によって場合分けすればよいですね.

一方で ,\(y\) を固定するとどうでしょうか.この場合,\(x\) を \(t\) の関数として表すには,\(x\) の二次方程式 \(x^2-2tx+t-y=0\) を解く必要があり,\(x=t\pm \sqrt{t^2-t+y}\) と複雑な関数となってしまいます.この関数を \(0≦t≦1\) のもとで動かしたときの値域を求めるのは,できなくはないですがしんどいですね.

例題2

$$t\,が実数全体を動くとき,直線\,y=4(t-1)x-2t^2+1\,が通過する領域を図示せよ.$$

解答はこちら

\(k\) をある実数として,\(x=k\) と固定する.

このとき,\(y=-2t^2+4kt-4k+1=-2(t-k)^2+2k^2-4k+1\) .

\(t\) が実数全体を動くとき,\(y\) は \(t=k\) で最大値 \(2k^2-4k+1\) をとり,\(y\) の値域は,\(y≦2k^2-4k+1\).

\(x=k\) を実数全体で動かし,\(x\) の固定を外せば,求める領域は下の図の赤色の範囲で,境界部( \(y=2x^2-4x+1\) の放物線)も含む.

この例題では,\(x\) を固定することにより,\(y\) は \(t\) の二次関数になります.\(t\) は実数全体を動き,\(t^2\) の係数は負なので,軸( \(t=k\) )で最大値をとります.

例題2で,もし \(y\) を固定した場合は,\(x=\frac{2t^2+y-1}{4(t-1)}\) という \(t\) の関数を調べる必要があります(ただし,分母が \(0\) にならないように \(t=1\) は場合分けしましょう).

以上のように,変数を固定するときには,その後に調べる関数が簡単になるように,変数を選択しましょう.

今回のパートまでで,順像法での値域・領域の問題の取り組み方をある程度解説しました.次回は,考え方を180°転換し,逆像法について解説したいと思います.

  • 単調増加の広義の定義に基づけば,定数関数も単調増加といえるので,例題1の解答における(i), (ii) はまとめても問題ないですね.
  • 例題2は,直線群 \(\{y=4(t-1)x-2t^2+1\,|\,tは実数\}\) のすべてに接する曲線(包絡線)が,\(y=2x^2-4x+1\) という見方もできます.

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