逆像法では,パラメータの存在命題を作ったのちに,同値変形をする必要があります.
part8からは,この同値変形の特徴的なパターンについて解説します.
part 8 のポイント
- 同値変形は逆にも辿れる必要があることに注意
- あるパラメータに代入する操作は同値変形
例題1
$$実数\,a,b\,が,ab≧1\,を満たしながら動くとき,\\ x=a+b\,の取りうる値の範囲を求めよ.$$
解答はこちら
求める値域を,\(I\) とする.
\(x\in I
\\[1.5em] \Longleftrightarrow \begin{cases} ab≧1 \\ x=a+b \end{cases} を満たす実数\,a,b\,が存在する
\\[1.5em] \Longleftrightarrow \,a(x-a)≧1 \,を満たす実数\,a\,が存在する\qquad (b=x-a\,と置けばよい)
\\[1.5em] \Longleftrightarrow \,a^2-x\cdot a+1≦0 \,を満たす実数\,a\,が存在する
\\[1.5em] \Longleftrightarrow (判別式\,D=)\,x^2-4≧0
\\[1.5em] \Longleftrightarrow \,x≦-2,\,2≦x\)
この問題は,part 3 で扱ったものと同じです.
逆像法で解くには,まず求める値域を \(I\) と文字で置き,求めたい変数 \(x\) が \(I\) に含まれていると仮定するのでしたね.そして,今回パラメータの条件は,\(ab≧1,\,x=a+b\) なので,これらを満たす実数 \(a,\,b\) が存在するという命題に変形します.
ここまでが,逆像法の定石です.
今回のテーマはその後の同値変形です.同値変形とは,命題と命題を必要十分な関係で結ぶことを指します.
ここで重要なのは,逆にも辿れる必要があるということです.
例えば,解答中で用いた次の変形は同値変形です.
$$ \begin{align}
& \begin{cases} ab≧1 \\ x=a+b \end{cases} を満たす実数\,a,\,b\,が存在する
\\[1em] \Longleftrightarrow\, & a(x-a)≧1 を満たす実数\,a\,が存在する
\end{align} $$
\(b=x-a\) が成り立っているので,\(ab≧1\) に代入して,\(〇〇〇\Longrightarrow×××\) の論理が成り立つことは容易に確認できます.
一方で,\(a(x-a)≧1\) を満たす実数 \(a\) が存在するとき,\(b=x-a\) と置けば,\(b\) はもちろん実数(下のコメントを参照)で,\(ab≧1,\,x=a+b\) の両方の式が成り立っていますね.つまり,\(〇〇〇\Longleftarrow×××\) の論理も成り立つということです.
このことからも,一般に等式(今回の \(b=x-a\) )を用いて,パラメータに代入する操作は,同値変形になりますね.パラメータの数が多い時には,この考え方でパラメータを減らすことができますね.
次回は,パラメータが1個になったときに使える同値変形について解説します.

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