今回は,2つの例題を用いて,パラメータの範囲に条件がある場合の,値域を求める問題に取り組みましょう.
part 3のポイント
- 一つの変数を固定する前に,その変数の動く範囲に注意.
- 一つの変数を固定することで,ほかの変数の値が一つに決まったり,範囲が制限されたりする.
例題1
$$実数\,a,b\,が,ab=1\,を満たしながら動くとき,\\x=a+b\,の取りうる値の範囲を求めよ.$$
解答はこちら
\(a=0\,\)のとき,\(ab=1\,\)を満たす実数\(\,b\,\)は存在しないので,\(a\ne 0\,\).
\(a\,\)を\(\,0\,\)でない実数で固定する.
\(ab=1\,\)より,\(b=\frac{1}{a}\,\). よって,\(x=a+\frac{1}{a}\,\,\,(a\ne0)\) .
\(f(a)=a+\frac{1}{a}\,\)とおくと,
$$f'(a)=1-\frac{1}{a^2}=\frac{(a-1)(a+1)}{a^2}$$
\(f'(a)=0\,\)となるのは,\(a=\pm 1\) .
増減表は,
| $$a$$ | $$\cdots$$ | $$-1$$ | $$\cdots$$ | $$0$$ | $$\cdots$$ | $$1$$ | $$\cdots$$ |
| $$f'(a)$$ | $$+$$ | $$0$$ | $$-$$ | $$-$$ | $$0$$ | $$+$$ | |
| $$f(a)$$ | $$\nearrow$$ | $$-2$$ | $$\searrow$$ | $$\searrow$$ | $$2$$ | $$\nearrow$$ |
また極限が,
$$\lim_{a\to-\infty}f(a)=-\infty,\lim_{a\to\infty}f(a)=\infty\\\lim_{a\to-0}f(a)=-\infty,\lim_{a\to+0}f(a)=\infty$$
以上から,\(x=a+\frac{1}{a}\,\,\,(a\ne0)\,\)の値域は,
\(x≦ -2,2≦ x\)

この例題では,\(a,b\) がパラメータで,\(x\) が求めたい変数ですね.
ただし,パラメータに \(ab=1\) という条件が与えられています.part2 の例題が実数全体であったのと比較すると,イメージは下のようになります.

パラメータが2個なので,片方の変数(ここでは \(a\) )を固定して変数の数を減らしましょう.
ここで注意したいのが,\(a\) が \(0\) になることはないということです.なぜなら,二つのパラメータ \(a,b\) というのは,先ほどの図の青い曲線上しか動かないからです.
変数を固定する前には,その変数の動く範囲を確認するようにしましょう.
これさえ注意すれば,\(a\) を固定したことにより,\(b=\frac{1}{a}\) になり \(b\) の値が一つに決まってくれます.
あとは \(x\) が \(a\) のみの関数として表せるので,微分して増減表を書くという基本の流れで解きましょう.
例題2
$$実数\,a,b\,が,ab≧1\,を満たしながら動くとき,\\x=a+b\,の取りうる値の範囲を求めよ.$$
解答はこちら
\(a=0\,\)のとき,\(ab≧1\,\)を満たす実数\(\,b\,\)は存在しないので,\(a\ne 0\,\).
(i) \(a\) を \(0\) より大きい実数で固定する場合( \(a>0\) )
\(ab≧1\) の両辺を \(a(>0)\) で割って,\(b≧\frac{1}{a}\)
よって,\(x\) の値域は,\(x≧a+\frac{1}{a}\)
(ii) \(a\) を \(0\) より小さい実数で固定する場合( \(a<0\) )
\(ab≧1\) の両辺を \(a(<0)\) で割って,\(b≦\frac{1}{a}\)
\(x\) の値域は,\(x≦a+\frac{1}{a}\)

\(f(a)=a+\frac{1}{a}\) として,増減を調べる(例題1と同じ).
(i),(ii)より,\(x\) の動く範囲は,

よって,\(x≦-2, 2≦x\)
例題1と形は似ていますが,今回は \(a\) を一つの実数に固定しても,\(b\) の値は一つに決まりません.
例題2も例題1と同様に \(a\ne0\) です.そして,\(a\) を固定すると,それに伴って \(b\) の範囲が制限されます.

ここで場合分けが必要で,\(a>0\) の時は \(b≧\frac{1}{a}\) ,\(a<0\) の時は \(b≦\frac{1}{a}\)と範囲が制限されます.
また,\(a\) を固定しているので,\(x=a+b\) は \(b\) の一次関数(直線)とみなせます.先ほどの \(b\) の制限のもと,\(x\) の値域を出しましょう.
その後,\(x=a+\frac{1}{a}\) のグラフを調べることで最終的に \(x\) の値域を求めることができます.
今回は,パラメータの範囲に条件が与えられる場合を扱いました.そのような場合には,片方の変数を固定した時に,もう片方の変数の値が一つに決まったり,範囲が制限されたりします.
次回は,これまでの考え方を用いて領域の問題に取り組んでみましょう.


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