このpartから,領域の問題を扱います.
part 4のポイント
- 領域の問題は,求めたい変数が2個になったもの.
- 方針は今までと同じく,求めたい変数の片方を固定して変数を減らせばよい.
例題
$$実数s,tがst≧1を満たしながら動くとき,\\(x,y)=(st,s+t)の動く範囲を図示せよ.$$
解答はこちら
\(k\) を \(1\) 以上の実数として,\(x=k\) として固定する.
\(s=0\) のとき,\(st≧1\) を満たす実数 \(t\) は存在しない.
\(s\) を \(0\) でない実数に固定する.
このとき,\(k=st\) より,\(t=\frac{k}{s}\) .
ここで \(y=s+\frac{k}{s}\) なので,\(s\) の固定を外し,\(s\ne0\) での \(y\) の値域を求める.
\(f(s)=s+\frac{k}{s}\,\,\,(s\ne0)\) とおく.
$$f'(s)=1-\frac{k}{s^2}=\frac{(s-\sqrt{k})(s+\sqrt{k})}{s^2}$$
\(f'(s)=0\) となるのは,\(s=\pm\sqrt{k}\) .増減表は,
| $$s$$ | $$\cdots$$ | $$-\sqrt{k}$$ | $$\cdots$$ | $$0$$ | $$\cdots$$ | $$\sqrt{k}$$ | $$\cdots$$ |
| $$f'(s)$$ | $$+$$ | $$0$$ | $$-$$ | $$-$$ | $$0$$ | $$+$$ | |
| $$f(s)$$ | $$\nearrow$$ | $$-2\sqrt{k}$$ | $$\searrow$$ | $$\searrow$$ | $$2\sqrt{k}$$ | $$\nearrow$$ |
極限は,
$$\lim_{s\to-\infty}f(s)=-\infty,\,\lim_{s\to\infty}f(s)=\infty\\\lim_{s\to-0}f(s)=-\infty,\,\lim_{s\to+0}f(s)=\infty$$
よって,\(y≦-2\sqrt{k},2\sqrt{k}≦y\) なので,\(x=k\) の固定を外して,\(k\) を \(1\) 以上の実数で動かせば,求める範囲は下の赤色の領域であり,境界部も含む.

領域の問題です.この例題での,パラメータは \(s,t\) の2個,求めたい変数は \(x,y\) の2個です.いわば,\((s,t)\) というパラメータの組を,\(f(s,t)=(st,s+t)\) という関数を用いて,\((x,y)\) に写している,と考えられます.

(ここでの \(f(s,t)\) はベクトル値関数と呼ばれるもので,今回のような平面上のある点から別のある点に対応させるような関数がそれに含まれます.)
領域の問題では,今までの値域の問題と変わって,求めたい変数が2個に増えてしまいます.
しかし求めたい変数が増えた場合でも,方針は今までと変わらず,求めたい変数の片方を固定して変数を減らしてしまえばよいです.
まず \(x=k\) と固定します.変数を固定するときには,その変数が動く範囲を先に確認しておきましょう.今回は,\(x=st≧1\) なので,\(k\) は \(1\) 以上の実数です.
このように固定したことで,\(st=k\) という条件付きでパラメータが動くときの,\(y=s+t\) の値域を求める問題に変わります.これは,part 3で解説した通りで,さらに \(s\) を固定するなどして解きましょう.すると,\(y≦-2\sqrt{k}, \,2\sqrt{k}≦y\) となります.
その後,\(x=k\) の固定を外してあげることで,求めたかった領域が出てきます.
イメージとしては,\(x=k\) という列ごとに \(y\) の値域を出してあげることで,全体の領域を求める感じです.

次回は,今回の考え方をもとに,山場である通過領域の問題に取り組みましょう.


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