値域・領域シリーズ part 6

値域・領域シリーズ

これまでは,「順像法」について扱ってきましたが,「順像法」のみでは解くことが難しいような問題があります.

そのような場合に有効な考え方が,「逆像法」です.

part 6 のポイント
  • 「逆像法」では,パラメータを動かすのではなく,条件を満たすパラメータが存在するという命題をつくる.
  • パラメータの和と積が分かっているときには,解と係数の関係を使うと良い.

part 3 で扱った次の例題を再度考えましょう.

例題

$$実数\,a,\,b\,が,ab=1\,を満たしながら動くとき,\\x=a+b\,の取りうる値の範囲を求めよ.$$

解答はこちら

\(x\) の取りうる値の範囲を \(I\) とする.

\(x \in I \)

\( \Longleftrightarrow \,\begin{cases} ab=1\\a+b=x \end{cases}\,を満たす実数\,a,\,b\,が存在する \)

\( \Longleftrightarrow \,t\,についての二次方程式\,t^2-x\cdot t+1=0\,が実数解のみを持つ\)

\( \Longleftrightarrow \,判別式\,D=x^2-4\,が\,0\,以上\)

\(\Longleftrightarrow \,x≦-2,\,2≦x\)

part 3 の解答に比べてかなりシンプルですね.逆像法が最大に発揮されています.

それでは,逆像法について解説します.

順像法では,パラメータから求めたい変数に写す関数を,微分などを用いて解析的に調べることによって,求めたい変数の値域を出します.パラメータを動かすイメージですね.また,一個の変数の関数にするために,変数の固定も行います.

一方で,逆像法では,パラメータを動かすのではなく,求めたい変数を仮に決めたときに,「その値に写るようなパラメータが存在するか?」ということを調べます.

例に \(x=2\) を考えてみましょう.すると,\(a=1\),\(b=1\) の時に,\(ab=1,\,a+b=2\) を満たすので,\(2\) は求めたい値域に含まれていることが分かります.

一般に考えると,\(x\) が求めたい値域 \(I\) に含まれていることは,\(ab=1,\,a+b=x\) を満たす実数 \(a,\,b\) が存在する,と言い換えられます.

このように,逆像法で考える時には,求めたい値域に含まれていることを仮定して,条件を満たすようなパラメータが存在する,という存在命題を作りましょう

この考え方を用いれば,今回の例題では,積が \(1\) ,和が \(x\) となるような実数 \(a,\,b\) が存在するという命題になります.和と積が分かっているので,二次方程式の解と係数の関係を使いましょう.適当に変数 \(t\) を用意して,\(t\) の二次方程式 \(t^2-x\cdot t+1=0\) が実数解を持てば,その解が \(a,\,b\) となりますね.

今回は,逆像法について解説しました.いままでの解法と比べると異質に感じるかもしれませんが,身につけるとかなり便利な道具(難関大志望であれば身につけているべき道具)なので慣れていきましょう.

  • 「~を満たす実数 \(a,\,b\) が存在する」という命題は,存在記号 \(\exists\) を用いて,\(\exists\,a,\,b\,\in\mathbb{R}\,s.t.\,~\) と書けます.

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